加工肉に関するIARCの発表について
当団体及び会員・組合員は、食肉、食肉製品等の安全性の確保並びに品質及び製造技術等の改善、向上を図るとともに、国民の皆様への良質な製品の安定的な供給に努め、国民の皆様の食生 活の向上と食肉加工業の発展に寄与すべく取り組んで参ってきております。
そのような中で、今般、IARC(国際がん研究機関)は、加工肉を「ヒトに対して発がん性 がある」と発表しました。当団体としては、現在その内容を確認中でありますが、我が国の消費 者の皆様方には畜産加工品の安全性について正しい理解をお願いするものであります。
加工肉をはじめとする食品の安全性については、内閣府食品安全委員会が直ちに見解を示した とおり、ヒトへの安全性については、常に食品の有する危害度とヒトへのばくろ量(摂取量)を 考慮して評価されるものであります。
今般の発表について、報道に見る限り、①発がんに至る因果関係が明らかにされていない、② 加工肉を多く摂取する人とそうでない人との間の食生活の差やアルコール飲料及びタバコと同 様の危害度グループに分類した根拠が明示されていない等、食品の安全性を正しく評価する上か ら不明な部分が少なくありません。
十分な説明も行われない中での今般のIARCの発表は、これまで培ってきた加工肉に対する 信頼を大きくゆるがしかねないものと深く憂慮しております。
すでに、諸外国の食肉関係団体からも異論が呈されていると承知していますが、国際機関としての正しい説明責任を十分果たしていただきたいと思うものであります。
あくまでも、食のリスクは食品が有する危害度と摂取量との関係の中で確保されるものであり、 その評価は、我が国では食品安全委員会、欧米のリスク評価委員会、WHO・FAOの合同専門 家会議等で行われ、これまで加工肉について問題あるとの評価は何らされていません。
我が国の1人当たりのハム・ソーセージ・ベーコン等の消費量は、IARCが報告書で掲げる 量を大きく下回るものであり、通常の食生活において発がんリスクが心配される対象の状況ではないと考えております。また、我が国の国立がん研究センターの 1995 年から 2006 年に亘る研究 成果においても、「加工肉の摂取による結腸・直腸がんのリスクの上昇は認めない」と報告しております。
加工肉は既に多くの研究者が明かにされておりますように、動物性タンパクはもとより食肉が より有効的に提供できる鉄や亜鉛といった貴重な栄養素の供給源であり、総死亡リスクを低下さ せ老化速度を遅らせる上で大きな効果があると言われております。今後、高齢化時代においても 栄養食品としての役割をしっかり果たし、豊かな食生活の維持に引き続き貢献させていただける ものと確信しております。
当団体としては、引き続き、科学的に立証された知見の収集に努め、日本の消費者の皆様に安 全で安心な製品をお届けするよう全力を挙げて取り組んで参りたいと考えております。